最近おりものが増えた、匂いがする、検診でおりものを指摘された、等など、気になる方はご受診ください
おりものは、雑菌が膣の中に侵入してくるのを防ぐために分泌されているので、健康な女性でも出てきます。
時期によって色や性質が変わります。排卵の時期には透明で粘り気がありのびるものになります。月経前には白っぽいクリーム状のものが多いです。正常なおりものには臭いがしません。おりものは酸性ですので、酸っぱい臭いの時もありますが、周囲には匂っていないということも多いです。
おりものの成分
腟炎や子宮頸管炎、子宮頸管ポリープがあると、おりものの量がいつもより多くなります。炎症を起こしている場合は、おりものが濃い黄色になります。炎症を起こしていないなら、白っぽい色をしています。
うすいミルク状や淡い膿状だったり、茶色が混ざった泡状のおりもので痒みを伴う場合は、腟トリコモナス症のことがあります。これは悪臭がすることがあり、抗生剤や腟錠での治療が必要です。
おりものに少量の血液が混じって時間が経過すると、茶色っぽい色になります。子宮頸管炎、子宮頸管ポリープ、萎縮性膣炎などでみられます。子宮頸がんや子宮体がんなどでも茶色のおりものが出る場合があります。
おりものに鮮血が混じるのは、出血しているところがどこかにあるからです。外陰部や腟壁に炎症や外傷があるとき、子宮頸管に炎症やポリープや腫瘍があるとき、子宮の本体に異常があるとき、あらゆる原因が想定できます。
おりものに異常を感じた時は、婦人科にてお気軽にご相談ください。
「私だけかも…」と思わなくて大丈夫です。かなり多くの女性がおりものの悩みを抱えていらっしゃいます。ですので、なんでもおしゃってください!
病名 | 潜伏期間 | 感染経 | 症状 |
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トリコモナス | 1~数週間 | 性行為 |
灰白色、膿状、泡沫状の帯下があり、時に悪臭。
ほとんど無症状 |
カンジダ症 | 1~2週間 | 性行為 日和見感染 |
日和見感染であることが多い。典型例は、粉チーズや酒粕様の無臭の白い帯下を生じる。外陰部の炎症により強いかゆみを帯びることがしばしばある。 |
デリケートゾーンについては周囲の人になかなか相談しにくいため、多くの女性が一人で悩んでいます。
20〜50代の女性を対象にした調査(持田ヘルスケア調べ)では、どの年代でも約5人に1人が痒み、におい、ムレ、おりものについて悩んでいることがわかっています。
また、更年期世代になってくると、腟の粘膜が薄くなってくるので、腟の中を洗いすぎるとヒリヒリして炎症を起こしやすくなります。女性ホルモンが低くなってくると腟壁や外陰部の皮膚が萎縮して炎症を起こす事があります。これが萎縮性膣炎です。閉経後の多くの女性に見られる疾患ですが、外陰部が痛い、性器出血や性交痛があるといった症状があるといった場合は、お気軽に婦人科を御受診ください。腟に潤いをもたらす膣錠やジェルなどもあります。
気になること、普段ちょっと悩ましいことは、一人で悩まずに、婦人科医に相談してくださいね。
かゆみの原因は、カンジダ真菌であることが多いです。かゆみは我慢せずにすぐにご受診ください(生理中でも大丈夫です)。
ほとんどの場合、治療で治ります。
カンジダ膣炎は、性交渉でうつると思われがちですが、実は日和見感染であることの方が多いです。日和見感染とは、疲れやストレスで自分の免疫力が低下した時に病原体が増殖して暴れて発症してしまうことを言います。
カンジダ真菌は普段は悪さをしませんが、体調の変化やストレス、生活習慣の乱れ、デリケートゾーンの不衛生な状態によって、膣内環境のバランスが崩れて、カンジダ真菌のような悪玉菌が暴れてしまうことがあります。ちなみに、善玉菌といわれるのはデーデルライン桿菌といって、乳酸菌の仲間があります。この善玉菌は膣内を酸性に保ち、他の病原菌の侵入を防ぎます。
また、妊娠している方は、免疫力が急激に低下しているので、カンジダ膣炎になりやすいです。
泡状のおりもので、痒みを伴うことが特徴です。早めの治療を強くお勧めします。
子宮がん検診で、トリコモナスがたまたま見つかることもあります。
トリコモナス原虫が腟内に定着することで起こる感染症です。他の性感染症とは異なり中高年にもしばしばみられ、感染者の年齢層は幅広く、浴槽・下着・タオル・便器などに触れる機会があれば感染することでも知られています。黄色く泡だったおりものが増加する特徴があり、時に腟壁粘膜の発赤、溢血性点状出血などの症状が現れることもあります。感染していても症状が現れない無症候性感染のことも多いですが、治療が必要です。
性感染症の一種で、ヒトパピローマウィルスが原因であることが分かっています。イボ状の腫瘤が陰部に広がる病気で、放置するとどんどんと広がります。パートナーに感染させてしまう恐れもありますので、陰部に無痛のイボイボを見つけた場合は、お気軽にご相談ください。再発の予防につとめ、また、症状に合わせた治療をいたします。